シェフの仕事
~リロンデル1895のある厨房~

2019年に発売されたセミドライイースト・リロンデル1895。
パン作りにおいて素材本来の旨みを最大限に活かすために、近年ベーカリー店で用いられている製法は冷蔵長時間発酵法いわゆるオーバーナイト製法です。
冷蔵庫内でゆっくりとパン生地を熟成させる工程において、一番気にする点が発酵過多や、発酵不足。
そのどちらの悩みを解決したイースト、それがセミドライイースト リロンデル1895です。
さらに素材本来の旨味を引き出す以外に、発酵時間をコントロールできるため労働時間短縮などと言った作業効率を上げる事が出来ると言うこともセミドライイースト・リロンデル1895の特徴であります。

今回セミドライイースト・リロンデル1895(以下リロンデル1895)をご使用している京都市南区にあるベーカリー店mina_minaのオーナーシェフ山本二郎さんに、 輸入元である日仏商事株式会社の当社担当営業さんと共に使用感などのお話をお伺いさせていただきました。

■早速ですが、実際にお店をされて今回の取材テーマである小麦の旨みを最大限に引き出しつつ、労働時間短縮などと言った作業効率を上げる事が出来るリロンデル1895を使うに至る経緯などをお教えいただけますか。

商品を知ったキッカケは、戸倉さんです。※ママパンの母体である戸倉商事株式会社原材料事業部
もともとは、生イーストとインスタントドライイーストを使っていました。
戸倉さんにセミドライイーストを紹介してもらい、生イーストをセミドライイーストに切り替えました。

お店では基本的にストレート法でパン作りをおこなってきたのですが、売上が上がるとともに製造量も増え、そうなるとオーバーナイトをしないと作り切れないというタイミングでリロンデル1895を紹介してもらいました。

▲mina_minaの山本シェフ
■生イーストからセミドライイーストに切り替えた際に違和感などなかったですか。

そうですね。そんなに違いは感じられませんでしたが、ちょっと違うなという程度です。
セミドライイーストは保存・計量においてすごく便利じゃないですか。
キャップが付いているから使用後にしっかりと封を出来るし、インスタントドライイースト同様にサラサラとしているので0.1mg単位での計量にも優れていますよね。
イースト臭も生イーストと比べて少ないのも良いですね。小麦の香りを感じていただきやすい。

ハード系のパン=VC(ビタミンC)が入っていないといけないという考え方ってあるじゃないですか、VC抜きの方がかえって変な癖がない。いいな。やり易いな。無しでも製法次第でいけるなって。
※セミドライイースト リロンデル1895はVC抜き。使用原材料は、パン酵母と乳化剤のみ。
そんな考えのもと、インスタントドライイーストも使わなくなり、使用しているイーストはゼミドライイーストのみとなりました。



■リロンデル1895を使うにあたり、何か違和感などありましたか。

ないですね。
もともと生イーストをセミドライイーストに切り替えて使っていましたし、その延長線上って感じでした。
いざテストしてみると、生地を仕込んで冷蔵で2日間ぐらいはひっぱれるなって。
5℃以下の温度帯に入ったときはリロンデル1895の焼き上がりはとても良い感じです。

その温度帯での僕個人的な使用感は、生イースト≦セミドライイースト。
さらにセミドライイースト≦セミドライイーストリロンデル1895の方が優秀ではと感じます。



■実際に生地を仕込んでオーバーナイトで2日間ひっぱることってありますか。

ピザ生地のみ2日間は行っています。
それ以外の生地は基本的に、前日仕込んで翌日焼き切る。



■ピザ生地以外ではどんな生地にお使いですか。

ブリオッシュ、フランスパンの一部、ポーリッシュ種で使用しています。
▲仕込み終わったポーリッシュ種(作業場と売り場を結ぶ中庭で)
以前はルヴァン種を作っていたのですが、なかなか安定しないじゃないですか。
休みの日もルヴァン種の世話をしないといけないですし...

そんなこともありルヴァン種をやめて、ポーリッシュ種にシフトしました。
発酵力もあり、僕のイメージする通りに仕上がっています。
▲セミドライイースト リロンデル1895使用して作られたパン。
■例えばですが、今お使いになっていただいている生地以外の様々な生地にリロンデル1895使ってオーバーナイトさせると、作業効率も上がったりするのではと思うのですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。

基本ストレート法が好きなんです。
時間に追われている感じというか、バタバタする感じというか...
あの感覚って嫌いじゃないんですよね。
ストレート法のストライクゾーンの狭さにいかにしてピッタリと収めるというか。
実際にピッタリ収まったときは「来た!」って(笑)

最近はすべての生地もしくは大多数の生地をオーバーナイトでというお店増えてきていますよね。
オーバーナイトって発酵について無頓着になるのではと僕は思うのです。
間延びするというか、感覚を見極める力が鈍るというか。
僕のパン作りは発酵を見極める『HAYASHI BAKERY』で教えられたことを基本にしているので。
※『HAYASHI BAKERY』・・・京都市西京区の人気ベーカリー店であり、山本シェフのパン作りにおける修行先です。

ストレート法は大事にしつつ、『リロンデル1895』を使った冷蔵長時間発酵の比率が現在1~2割だったとしたら、3~4割まで増やしてもいいかなと考えています。
少しずつオーバーナイトを増やしていかないと量が作れないのも事実なので。
■今後セミドライイースト リロンデル1895を使って作りたいパンなどありますか。

ありますよ。
実はフランスパンはミキサーを使わず基本全て手捏ねなんです。
1.5~2kgの生地を大きなステンレスのボールを使って仕込んでいます。

パンチを何度も入れて、生地を繋げて生地を作っていくという方法をとっています。
▲微量のリロンデル1895を使用して生地を発酵・熟成しています。オートリーズも含めてストレスの少ない環境下で製造したバゲットは本当に素晴らしい味でした。内装の色もクリーム色に。
今後、ライ麦・全粒粉などを使ったカンパーニュ系をカゴ(バヌトン)1個分ぐらいの生地が入る小さなボールを使って何種類も作ってみたいです。
カゴ1個分ぐらいの小さな生地を小さなボールで仕込む。分割はしない。
生地に極力ストレスを与えないパンを作ってみたいです。
ストレート法でやると時間に追われて大変だから、オーバーナイトでね。
そうなったらリロンデル1895の出番ですよね(笑)

そういえば小ロットの生地だったら家庭でも作れますよね。
これからもコロナ禍においてステイホームが続きそうだし、日曜日の朝は自分でパンを焼いて食べるといったライフスタイルいいなって思うんです。
家庭の冷蔵庫使ってもオーバーナイトって全然できるじゃないですか。
ママパン+【mina_mina】+リロンデル1895のコラボで、この小麦粉と、このイーストをこの製法を使えば、これが作れます!みたいな事を家庭製パンしている方に発信出来たら面白いですよね。



■最後になりましたがお店の展望についてお聞かせください。

昔はライブ、落語、ウエディングなどをお店で開催していました。

けどコロナ禍のいま、中々集まれない。密になれないじゃないですか。
そんな中でもmina_minaに来ていただいて、気持ちのいい時間を過ごしてもらえるようにと考えています。例えば日曜日の午前中だけパンとスープとワインを提供させていただく。
冬になればお店に薪ストーブもあるし。ほっこりしますよ。
またSNSをもっと活用できれと考えています。
現在ホームページ、facebookは運用しています。
日々のことはfacebookにUPしていますが、どれだけの方が見て下さっているのか・・・
今後はインスタグラムのアカウント開設して雰囲気のある動画とかを配信したいですね。

mina_minaというお店を中心としたパンのある暮らし。
そんなライフスタイルを発信提案したいです。
僕が発信したことに共感して下さったら、いつかお店にきて僕のパンを食べてもらいたいな。

私自身来年還暦です。
お店を拡張拡張という考えよりは、小さくコンパクトにしていく事。
自分が楽しくて、一緒に働いてくれる人も楽しんでくれたらという想いです。


mina_mina
■住所
〒600-8863 京都府京都市下京区七条御所ノ内本町83-1

■電話/FAX
075-203-6323

■営業時間
10:00~16:00

■定休日
月曜日・日曜日・祝日
不定休あり(Facebookなどでご確認下さい)

HP
https://www.mi-na-mi-na.com/


■SNS
Facebook:https://www.facebook.com/Mina_mina-124764544366691/

Interview by日仏商事株式会社 相木さん Photo by mamapan 井上

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オススメのレシピ

ポーリッシュ種

ポーリッシュ種法は19世紀にポーランドから伝わった、液種を使った製法です。
水種とも呼ばれるように種生地の水分量は粉と同量~2倍ぐらいになり、柔らかい種生地になります。
ポーリッシュ種を予め長時間発酵させているので、本捏ね後の発酵時間が短く、風味も豊かになります。
また、窯伸びがいいので火の通りがよくなり、歯切れと口溶けのよいパンに焼き上がります。

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