忘れてはいけないぶどう畑の見学

2019年8月23日

忘れてはいけないぶどう畑の見学。
ISIK社から車で約1時間30分程度の場所に、有機レーズンのためのぶどう畑があります。
オリーブといちじくの畑を横目で見ながら道を進むと、乾いた土の農道になり、間もなくするとワイン用のぶどう畑と同じ様な畑が目に飛び込んできました。
近づくと収穫作業の真っ最中です。
明らかに腕っ節の強い男性が中心となり、採りたてのぶどうの房が満杯に入ったカゴをいくつも作業車に積み込んでいます。
女性の姿もあります。主にぶどうの房を収穫しています。
ここで栽培されているぶどうは、トンプソンシードレスです。この品種は、一般的に果実は長楕円形をしています。皮は薄く、剥かなくてもそのまま食べられ、パリッとした歯ざわりが楽しめます。果肉もやや固めで、ジューシーですが酸味がしっかりとあります。名前の通り種がほとんど無いことも特徴です。

もともとトルコでは、種無しぶどうが栽培されており、サルタナと呼ばれていました。19世紀にアメリカ人のウィリアムトンプソン氏が、トルコに訪問した際に、この種無しぶどうを持ち帰り、アメリカで栽培をはじめました。種無しレーズンは瞬く間に全米に広がり、いつしか彼の名前をとって「トンプソンシードレスレーズン」と呼ばれるようになりました。従って、サルタナレーズンもトンプソンシードレスレーズンも素は同じぶどうからできていることになります。トルコでは、2つのレーズンを区別するために茶色いサルタナレーズンをゴールデンレーズン、私たちがよく知っている黒っぽいレーズン(通称トンプソンシードレスレーズン)をブラックレーズンと呼んでいます。
豆知識
遺伝子的にトルコはぶどうの木の出所です。紀元前3500年には、既にぶどうを育てる文化があったようです。この地域には、昔からぶどうの木が生育するあらゆる気象条件等が揃っていたのでしょう。
1984年、ISIK社はレーズンの加工事業をスタートさせました。そして、1991年に有機レーズンの加工事業を開始しました。この事業も『ハッピービレッジプロジェクト』の一つになります。


さて、ぶどうの木を見てみましょう。気温は37℃を超えているのに葉は青々と茂り、活き活きとしています。
そして、元気なぶどうの葉をかき分けると、厳しい日差しから守られた丸々としたぶどうが顔を出します。
農家の皆さんは、慣れた手つきでどんどん収穫していきます。
私も少し体験させていただきました!

言葉はあまり通じませんが、一緒に収穫すると一気に心が近づきますね。
みなさん笑顔で、撮影に協力してくれました。
収穫されたぶどうは、すぐに近くの平地で天日干しされます。
サルタナレーズンに仕上げるためには、炭酸カリウム水溶液に浸してから天日干しします。この水溶液につけることで、乾燥速度を早めることができ色味が明るくなります。サルタナレーズンはぶどうを7~10日間、天日干しすることで出来上がります。
通常のレーズンの場合、水溶液には漬けずに天日干しするため、15~18日間を必要とします。天日干し期間が短いと雨や強風などの悪天候の影響を受けにくいですよね。
炭酸カリウムとは
炭酸カリウムは、中華麺などを製造する際に使用する「かんすい」の主原料で、一般的に食品製造に使用されています。レーズンには、加工助剤として使用されているため、原材料には表示されません。
さすがは若い農家さんです。収穫から天日干しまでのルーティンがしっかり決まっていて、手際よくぶどうの塊を一定間隔で置いていきます。そのぶどうの塊を女性たちが綺麗に広げていきます。
遠くに山脈を望みながら、みるみるうちに収穫されたぶどうは天日干しされていきます。ぶどうの絨毯と山脈、そして青い空のコントラスト。この環境と特有の気候が美味しいレーズンを育てます。

天日干しが終了したら、レーズンはPP袋に入れられ、農家の倉庫で一時保管されます。ISIKはその中からサンプルを抽出。検査したのち、有機性が認められたら自社の低温倉庫に移設して保管されます。

短時間の訪問でしたが、タイミングよく収穫作業が見学できたことは本当にラッキーでした。
乾燥して茶褐色に色が変わったサルタナレーズン Photo by ISIK Tarim Urunleri A.S. Izmir / Turkey
自然環境と農家の尊い手間によって生まれる私たちの豊かな食卓。
レーズンの一粒一粒を大切に取り扱っていきたいと改めて感じました。

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