モバックショウレポート
MobacShow 2025

Report未来の食文化を創造する
未来の食文化を創造する

モバックショウ 2025

最高レベルの品質と信頼性で製パン製菓の機械から原材料までの未来を切り開く「モバックショウ 2025(第29回国際製パン製菓関連産業展)」に 、戸倉商事株式会社として出展いたしました。

Demonstrationデモンストレーション
デモンストレーション

会期中、戸倉商事株式会社・株式会社トクラ大阪の出店ブースにおきまして、4名の有名ベーカリーシェフを日替わりで製パンデモンストレーションを行なっていただきました。
各シェフのデモンストレーションのレポートは以下より閲覧していただけます。

パン生地に付加価値を。
Added value to Bread dough

3月に引き続き、生地の付加価値を上げるためのご提案です。
ここ最近の製パン業界で話題になっている「湯ゲル」。多くのお店で品種・全粒粉・ライ麦など様々な湯ゲルを使われていたり、パン教室などでも取り入れておられるところもございます。
近年都度上がってくるワード「しっとり・もちもち食感」を付与してくれる手法をご紹介いたします。

Added value to Bread dough「湯ゲル」
「湯ゲル」

「湯ゲル」とは?

小麦粉と水を一緒に加熱することでゲル化(ゼリー状になること)させたものを指します。 デンプンを適切な温度管理下で練り混ぜて糊化させることで、パンの保水性や弾力・伸展性を高めます。 発酵が均一になり、焼き上がりが安定する。食感がよく、しっとりした状態が長持ちするなどのメリットがあると言われています。 湯種と似ていますが、湯ゲルの特徴は温度管理とゲル化の進行が重要なポイントです。
「湯ゲル」の効果

■水がたくさん入るようになるため、生地への加水を増やすことができる。
予め水を含んだゲルを生地に混ぜるために、パンの水分量を増やしやすくなります。
そのために「もちもち食感」が強くなり、保水性も高まる為にパンの老化予防にも繋がります。

■甘味や旨味にも繋がる。
湯ゲルを作る過程で、小麦粉内に含まれるデンプンが糊化します。
糊化の際に、デンプンが分解され、糖が生成されます。その糖化により、パンに自然で複雑な甘味が付与されます。
この甘さが、パンの他の風味、例えば小麦本来の風味や発酵による風味と調和し、全体の旨味を底上げします。

Pick up過去の講習会でも「湯ゲル」に近いものが登場。
過去の講習会でも「湯ゲル」に近いものが登場。

5倍量ソース

株式会社トクラ大阪で開催された志賀勝栄シェフの講習会では、小麦粉に対して5倍の量の水で溶き、火にかけながら65~70℃になるまで混ぜた、いわゆる湯種に近い「5倍量ソース」が使用されています。
温度に関して70℃までとしているのは、時間の経過とともに甘みが増すことを狙って小麦の酵素をあえて少し残すようにされています。
この方法で、でん粉を分子レベルでアルファ化させ、すごくもちもちとした引きの強い食感となっていました。
完全に殺菌できるまで温度は上げていないので、当日~翌日には使い切るようにされています。

Means「美味しいパン」にするための1つの手段。
「美味しいパン」にするための1つの手段。

人気のベーカリーでは、パンに合わせて湯ゲルを使い分けています。
全粒粉・ライ麦・コーンフラワーを使ったり、水ではなく牛乳でミルク湯ゲルしたりなど、様々なものを使っています。
また、作られる際の温度も様々です。志賀シェフが、65~70℃程とされていますが、60℃前後のレシピがあったりと、その方の理論に基づいた湯ゲルが存在します。

どれが良くて、どれがダメということはなく、全ては「美味しいパン」にするための手段の1つです。
「ひと手間」かかるとはいえ、リテールならではのパンの美味しさが出せる手段の一つとしてご検討を頂けましたら幸いです。

Recipe「ぜひご家庭でも。
ぜひご家庭でも。

湯ゲル

今回、小麦粉:1に対して水:5の湯ゲルレシピとなります。
このレシピでは、温度は58~60℃で小麦デンプンのα化(糊化)と各種酵素の活性を意識しながら、パン生地に「旨味」を付与できないかと考えました。
酵素が失活し始める60℃まででとどめているのがポイントです。

※なぜ旨味を付与できるのか?
酵素が活性することで、デンプンやタンパク質を分解し、糖やアミノ酸などの旨味成分を生成します。
こちらをべースに、小麦粉を変えたり、温度を変えたりと、色々と試して頂きながらご自身の「好き」を見つけていただければ幸いです。

湯ゲルのミニ食パン

湯ゲルバゲット

湯ゲル込みでの加水率は、食パンが約94%・バゲットは約70%となります。
比較的作りやすい加水で考えこの量となっていますが、もっと足していただいてもいいかと思います。

私も湯ゲルを使ってリュスティックを作りましたが、高加水ならではのツヤツヤとした内装で瑞々しく、モチモチとした食感のパンになりました。
「次は全粒粉、その次はライ麦、米粉もいいな」と次はどうしてみようかな?とすごく楽しくて、奥の深い製法だと思います。
皆様もぜひ湯ゲルを使ったパン作りを楽しんでいただければ幸いです。

酵母が織りなす、熟成の旨味を生地に。Hoshino

Pick upオールマイティに活躍。
オールマイティに活躍。

ホシノ天然酵母パン種

お米由来の酵母と麹菌や乳酸菌からなる酵母ならではの酒粕のような甘い香りと熟成された旨味が感じられる、ひきの強いしっとりもっちりとした仕上がりのパンに仕上がります。
テーブルロールや総菜パン、食パン、カンパーニュ、バゲッドなどソフト系からハード系までオールマイティに使えるパン種です。

< 使用量:対紛8%を目安にお使いください。>

Pick up高さやボリュームを求められる際には「丹沢」
高さやボリュームを求められる際には「丹沢」

ホシノ丹沢酵母パン種

神奈川県の中央にそびえる丹沢山塊の山林で発見された野生酵母からつくられたパン種酵母です。
発酵力が強く、歯切れの良いふんわりしっとりとした食感に仕上がります。
また、すっきりと感じられる上品な香ばしさで、粉の味や副素材の味を生かしたいパンにオススメです。

< 使用量:対紛6%を目安にお使いください。>

Pick upルヴァン種専用!プロユースな天然酵母
ルヴァン種専用!プロユースな天然酵母

ホシノ小麦粉種(赤)

他のホシノ天然酵母種と比べて焼き色や風味が強いため、長く熟成させることで引き出される独特の風味と旨みがしっかりと感じられる仕上がりが特徴です。
食事パンからハード系まで、熟成させることで醸し出される深い味わいを生かしたパンがオススメです。

Contentsホシノ天然酵母について、より詳しく
ホシノ天然酵母について、より詳しく

粉の置き換えだけで
変わる「食感」Hoshino

2024年に関わらせていただいた製パン講習会でも「湯種・湯ゲル」というワードが様々なシェフから出ました。
リテールならではの生地改良として魅力的な反面、熱湯の取り扱いや作成時間の問題もあるかと思います。
そんなお悩みを解決するのが、粉体混合を可能とした「アルファ化小麦粉」です。

粉末化した湯種!湯だねっ粉

湯種商品を広く取り扱う奥本製粉が作る粉末湯種。
簡単便利で、作業効率を上げることが可能なアイテムです。
計量だけで「もちもち・しっとり」な湯種製法を再現できます。
食パンはもちろん、フランスパンなどのハード系にもぜひ使ってほしい逸品です。

■ベーグルに使用した過去のご提案はコチラ

アルファ化小麦粉!アルファフラワーZ

日清製粉独自の技術によって、アルファ化(糊化)した小麦粉です。
高温・高圧で処理しているため小麦粉臭がなく、低温から高温までの幅広い温度帯でも安定した粘度が保たれるため生地の老化が遅く、翌日でもしっとり柔らかな食感に焼き上げる事ができます。

■アルファフラワーZを使用した山食パン

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読む。ママパン

ママパンスタッフ
奥村 敏樹
趣味はドライブと釣りです。この職に就いてからパン屋さん巡りも趣味になりました。様々な情報をお届けできるように頑張ります。

今回のテーマ

美味しいシーン
皆様「ジブリ飯」というワードをご存知ですか?
名前の通りジブリ作品に出てくる料理などを指す造語になります。
宮崎駿氏が実際に作った料理がモデルになっていたり、温かそう・ふんわりして柔らかそうな作画であったり、「食事に使う色は基本的に3色」と工夫された効果的な色使いであったりと、こだわりを持って作中に登場します。

なぜ「ジブリ飯」という言葉ができるくらいに魅了されるのか?
ジブリ飯は豪華絢爛なものだけではなく、パンと目玉焼きのようなシンプルなものも人気です。
「食について描くことは、背景となる暮らしの文化を描くことになる」とジブリパーク内の企画展示で掲載されていました。
食=生活、という面で私たちにはなくてはならないものであることは間違いないと思います。
それでも印象に残っているのは『シーン』との関係があるからのようです。
単に美味しそうというだけでなく、心に残るシーンとして記憶しているからではないでしょうか。
作中の食事のシーンでは、心を通わせるような場面であったり、元気をもらうシーンであったりと各作品内でも印象的なシーンに使われていることが多い様です。

では、この方法をリアルなパンやお菓子に活用できないのか?
パン・お菓子を食べるシーンとは?
そこにつくったものが「どのようにあるのか、どうあってほしいのか」。
そういったシーンをPOPやSNSでご提案頂くのも1つかもしれません。
暖かくなる季節や新生活をはじめる方のお弁当であったり、ご褒美スイーツとしてなど、想定されるシーンは様々です。
「お客様にどういったシーンで食べてもらいたいか」そこを改めて考えてみると『印象に残る食事』として、ジブリ飯の様に忘れられないものになるかもしれません。
お客様にとっては「忘れられない味」となることでリピートにも繋がるかもしれません。
「美味しい」と思うことは、見えないけど人を突き動かす大きなパワーがあると思います。
皆様がつくられた美味しいもの。
そこに「どう食べて欲しいのか」を一度考えてみるのはいかがでしょうか?